nekotool さんのヨミメモ

『ラカン―鏡像段階』(福原泰平) by nekotool


 精神分析とは、何かをそこで得るような経験としてあるものではない。彼はオイディプス同様、精神分析の運命を徹底的に受け入れることで、みずからの生涯を全うしたということができるのではあるまいか。ともに己自身を求めながらも、これが「汝自身を知れ」ということの解答であるかのような、奪われることを唯一の経験とするような他者の役割を引き受けることで、二人はその存在を忽然と消し去っていったのである。

ラカン―鏡像段階
福原 泰平
出版社: 講談社   出版日: 1998-02-01   ページ数: 365