yuhr さんのヨミメモ

『身体のリアル』(押井守、最上和子) by yuhr


まあ、そうかもしれないけど、いまの若い子は本当に思うんだけど、壊れること自体よりも壊れることに対する恐れが強烈にあって、壊れるとどうなるかと言うと自滅するか、周りの人間を殺して滅びるか、どっちにしても破滅するんだと思ってるわけだ。すべてを失うというさ。それを失うまいと思って相当なプレッシャーのなかで生きてる。結果的にそれで病んじゃう。破滅するわけでもなんでもないんだよ。破綻することと破滅することは違うからさ、べつになにかを失うということはないんだよ。肯定するという意志があれば。
実際にそういうことがすべての人に起こるわけじゃないし、実際にそれが起こる手前だとものすごく怖いんですよ、壊れるというのは。受け入れることができないと思うんですね。私はなっちゃったからしょうがないというだけであって、選べと言われたら選ばないと思うんだけど、舞踏でそれを意識的にやっていくというのは極端なドラマが人生のなかにすべての人に起こるわけじゃないから、でもみんないまのままでいいとは思ってないわけですよ、いろんな意味でね。「これは本当の自分じゃない」みたいな気持ちはみんな持ってると思うのね。本当はもっと自由なはずだとかさ。そういうのを稽古を通して、古い殻を破ってなかから新しい生命を誕生させるということを少しずつ稽古のなかでやっていくという、実際なかなかそういうふうにはならないわけだけど(笑)、でも1回の稽古のなかでもなにか生まれ変わった、生まれ直したという体験を持つ人というのは結構いるんですよ。それをやったから明日から人生が変わるというものじゃないけど、それを積み重ねていくと。

身体のリアル
押井 守、最上 和子
出版社: KADOKAWA   出版日: 2017-10-04   ページ数: 352