yuhr さんのヨミメモ

『おんな紋―血縁のフォークロア』(近藤雅樹) by yuhr


すると、私たちが日ごろ顔をつきあわせて暮らしている家族という集団は、紋章というシンボルによっては、対外的には全く統一を保てないことになる。これは、紋章学の理解からすれば、紋章本来の機能に矛盾している。冠婚葬祭の場面において、夫婦の紋付の背中の紋章が別々であったなら、あかの他人がふたりを夫婦であると認めることは容易ではないだろう。
夫婦という関係にある男女は、血がつながっていないのだという事実
それぞれ別の血縁集団に所属している夫婦が、自分の所属を示すために紋章を異にするのは当然であるということになる。
女紋、とくに母系の紋章は、婚家ではなく、生家、それも、母方の親族とのつながりを確認し、強化するために存在していると考えるほかないものなのである。

おんな紋―血縁のフォークロア
近藤 雅樹
出版社: 河出書房新社   出版日: 1995-01-01   ページ数: 258