yuhr さんのヨミメモ

『おんな紋―血縁のフォークロア』(近藤雅樹) by yuhr


丹波の山村で女のワタクシとよばれたものは、ヘソクリではあるが全く公然の計画で、主婦たちが家の仕事をすませたあと、よその家に手伝いに行ったり、夜なべに余分の俵を編んだりして得た収入をワタクシとよんで別に貯金し、自分の小遣いにして子供達のものを買ったりした。(略)ワタクシというのは抽象的な名辞として使われていたのではなく、つねに具体的な事物に即して用いられ、家族員の私的な貯えそのものをさす言葉としても使われていた。(略)薩南列島でいわれる女のワタクシとなると、現金ばかりか実家の親から分与された田畑とか、牛や豚など、だれの目にも明らかな財物まで含まれていたという。

おんな紋―血縁のフォークロア
近藤 雅樹
出版社: 河出書房新社   出版日: 1995-01-01   ページ数: 258