yuhr さんのヨミメモ

『おんな紋―血縁のフォークロア』(近藤雅樹) by yuhr


母娘のあいだのぬくぬくとした絆への愛着には、この「ツバをつけた」という語感にこもる生理的なぬくもりが払拭できない。むしろ、それが強く求められているのではないだろうか。
所有権の標識を付与することは、ただちに自身の分霊をそのものに封じこめることをも意味していた。そのとき、標識のひとつとして採用されたものが紋章だった。そして、母親ゆずりの女紋は、単に個人の分霊を宿すにとどまらない、女性の霊力を継承するための象徴として機能することにもなっていったと思われる。

おんな紋―血縁のフォークロア
近藤 雅樹
出版社: 河出書房新社   出版日: 1995-01-01   ページ数: 258