yuhr さんのヨミメモ

『ひとつではない女の性』(リュス イリガライ) by yuhr


さて、「あなたはひとりの女性ですか」という質問は、多分、そうではない《他の》部分があるという意味でしょう。しかし、この質問はおそらく《男性の側で》しか提出されえないものです。この疑惑を、私は減少させるつもりはありません。なぜなら、この疑惑は、言説の現行機能の場とは違う他の場に通じる可能性を持つのですから。
たしかに、もし私が「どうしてこんな疑問をもったのですか。私がひとりの女性であるのは明らかじゃありませんか」と答えていたら、私は、ある種の《真理》とその真理の権力とをもった言説の中に、また陥っていたでしょう。また、もし私が話したり書いたりして明らかにしたいと思うことが、この「私はひとりの女性です」という確信から出発しているのだと主張すれば、私は再び《男根支配的》な言説の中に入ってしまうでしょう。

ひとつではない女の性
リュス イリガライ
出版社: 勁草書房   出版日: 1987-11-01   ページ数: 306