yuhr さんのヨミメモ

『ひとつではない女の性』(リュス イリガライ) by yuhr


とにかく《前代未聞》なことは、女性が《道具》なしですでに自己愛化しうること、女性が、どんな道具にも頼らずに、《自己自身の裡で》自己と触れ合うのが可能であることです。この観点からすれば、女性に自慰を禁じるのは、かなりこっけいです。だって、どうやって女性に自己と触れ合うのを禁じるというのでしょう。女性性器は《自己自身の裡で》たえず触れ合っているのですから。その代わり、この触れ合いを妨げ、自己と触れ合うのを妨げるために、すべてが動員されることになるでしょう。男性性器のみの評価、つまり、男根主義、意味の男根的論理、男根的表象体系は、ことごとく女性性器をそれ自身から引き離して、女性から《自己愛》を奪う方法なのです。

ひとつではない女の性
リュス イリガライ
出版社: 勁草書房   出版日: 1987-11-01   ページ数: 306