yuhr さんのヨミメモ

『ひとつではない女の性』(リュス イリガライ) by yuhr


以上のことを言っておいて、さて、女性的統辞とはどのようなものかに戻れば、それは簡単ではなく、容易に言うことはできません。なぜなら、この《統辞》には、もはや主体(主語)も客体(目的語)もないでしょうし、《ひとつ》であることは、もはや特権化されないでしょうから。また、固有の意味、固有名詞、《固有の》属詞……もないでしょう。この《統辞》は、むしろ、近いことを作動させるでしょう。この近さはあまりにも近いので、同一性のあらゆる区別、帰属のあらゆる形成、したがって、占有のあらゆるかたちを不可能にしてしまうでしょう。
「そのような統辞の例を挙げていただけますか。」

ひとつではない女の性
リュス イリガライ
出版社: 勁草書房   出版日: 1987-11-01   ページ数: 306