yuhr さんのヨミメモ

『ひとつではない女の性』(リュス イリガライ) by yuhr


等価物になるために、商品は身体を変える。その物質的出生に、超-自然的、形而上的(メタ-身体的)出生がとって代わる。こうして、その身体は、透明な身体、価値の純粋な現象化となる。
社会的なものへの参入は、身体が鏡像化に、投機(思弁)に従属することを要求する。この鏡像化・投機・思弁が、身体を、価値の器という客体や、目盛りづけされた記号や、換金しうる記号表現や、権威をなすモデルに従った《見かけ》に変えるのである。商品は——女は――和解できないふたつの《身体》に分断されている。その《自然な》身体と社会的に価値のある交換可能な身体とにである。後者は男性的価値の(特に模倣的)表現である。たしかに、この価値もまた、何らかの《自然》つまり体力の何らかの消費を表現しているにちがいない。しかし、この体力消費——これは本質的に男性的なものだが、——これが、自然的生産物の製造、加工、技術化に役立つのである。そして、この超-自然的属性こそが、生産物の価値を構成することになる。

ひとつではない女の性
リュス イリガライ
出版社: 勁草書房   出版日: 1987-11-01   ページ数: 306