yuhr さんのヨミメモ

『ひとつではない女の性』(リュス イリガライ) by yuhr


女の身体にそれなりの値がつくのは、すでに役立ったからだ。極端に言えば、役立ったなら役立っただけ価値をもつのである。そうすることで、女の身体の自然的な富の発揮がなされたのでは全くなく、反対に、その自然が摩耗し、男同士の関係の単なる乗物になったからである。
母、処女、売春婦、これらが女に課せられた社会的役割である。そこから、女性的(といわれる)セクシュアリティの諸特質が生じる。すなわち、再生産と養育との価値のつりあげ。貞節。羞恥。無知。さらに快楽への無関心。男の《活動》の受動的承諾。消費者の欲望をそそるための誘惑。しかし、自らは快楽することなく消費者の欲望の物質的支えとして身を捧げる。……母であっても、処女であっても、売春婦であっても、女には自己の快楽への権利がない。

ひとつではない女の性
リュス イリガライ
出版社: 勁草書房   出版日: 1987-11-01   ページ数: 306