yuhr さんのヨミメモ

『ひとつではない女の性』(リュス イリガライ) by yuhr


息切れしないで続けて。今日のあなたの体は昨日と同じじゃない。あなたの体が覚えてるから、あなたが覚えている必要はない。あなたの頭の中で、昨日を取っておき、数えて、資本にする必要はない。あなたの記憶はどうなってるかって? あなたの体が、今日、欲しいものを覚えていて、もう昨日言ってるじゃない。もしあなたが、わたしは昨日はこうだった、明日はこうだろうなんて考えるんなら、それは、少しだけわたしは死んでるって考えるのと同じよ。あなたがなるものになって。なったかもしれないものや、なるかもしれないものにしがみつかないで。身を固めたりしないで。きまってるものは、煮え切らないひとたちに任せましょう。わたしたちに、決定的なものなど必要ない。わたしたちの体は、いま、ここにあって、まったく別の確かさをわたしたちに与えてくれる。真理が必要なのは、体からあまりにも遠く離れたせいで体を忘れちゃったひとたち。だけど、そのひとたちの《真理》が、わたしたちを彫像のように身動きできなくする。わたしたちはそこから身を引き離さなくちゃ。彼らの《真理》の権力を壊さなくちゃ。私たちが、今ここでどんなふうに感動してるかを、すぐにも言って見みなくちゃ。

ひとつではない女の性
リュス イリガライ
出版社: 勁草書房   出版日: 1987-11-01   ページ数: 306