yuhr さんのヨミメモ

『売笑三千年史』(中山太郎) by yuhr


筑前国宗像郡大島村の官幣大社宗像神社のうち湍津媛に仕える女性だけは、その職に在る間は月水の障りがなく、今にこの不思議を伝えている。
常陸鹿島町の官幣大社鹿島神宮では祭神に仕える女性を『物忌』と称している。これを定めるには神官の娘のまだ月水を見ざる者二人を選み、百日の神事ありて日数満つると二人の名を亀の甲に記し、正殿お石の間で朝から夕までこれを焼くが、神慮に叶うた女子の名が残り、他は焼き失せるので、残った者を物忌とする。しかして物忌となると、その職に在るうちは幾歳になっても潮来せぬということである。
月水の通ずるのを界として神社を退き、または在職中は月水を閉ずるとは、すなわち神々が処女を愛でられたことを啓示しているのである。

売笑三千年史
中山太郎
出版社: 筑摩書房   出版日: 2013-07-10   ページ数: 720