yuhr さんのヨミメモ

『自己と他者』(R・D・レイン) by yuhr


抑うつ的になっている場合のほかは、自己が誠意や誠実を欠いているのを嘆くのは、他者である。彼や彼女の行動がいつわりであったり、芝居がかって大げさであったりすれば、ヒステリー者に特徴的な戦術の症候とみなされる。ヒステリー者は、反対に、自分の感情は正真正銘ほんものだと主張したがる。彼らは非現実的である、と感じるのは、われわれの方である。ヒステリー者は、自殺を図った自分の気持は真剣だったと強調するのに、われわれは、あれは単なる自殺の〈ジェスチャー〉にすぎないという。ヒステリー者は、自分がばらばらになりそうだと訴える。われわれが彼をヒステリー者と呼び分裂病者と呼ばないのは、彼がそんなふりをしたり、そう信じさせようとしている点を除けば、彼はばらばらになりそうにないとまさにわれわれが感じる限りにおいてである。

自己と他者
R・D・レイン
出版社: みすず書房   出版日: 1975-09-26   ページ数: 240