yuhr さんのヨミメモ

『なにもない空間』(ピーター・ブルック) by yuhr


それが完璧だったのは、ぎこちない自意識にわずらわされたり、自分の声の抑揚がおかしくないかどうかと思案したり、そんな余分な関心を彼がまったくもちあわせていなかったからである。聴衆の側には、彼が肌で感じていたとおり、聞こうという気持があったし、彼の側には彼らに聞いてもらおうという気持があった。そこで、台詞の中のイメージはおのずからあるべき位置を見出し、それが彼の声を導いて、無意識のうちに適切な強さと高さを発見させたのである。

なにもない空間
ピーター・ブルック
出版社: 晶文社   出版日: 1971-01-01   ページ数: 223