yuhr さんのヨミメモ

『特性のない女―女であることの精神分析的素描』(アニー アンジュー) by yuhr


「言葉は言葉自身とも、その対象物とも一致しない。このずれが同一性の喪失である」。このずれは、ふたつの表皮——触る皮膚と触られる皮膚——の差異のなかにもある。真の一致はない。女性が自分自身と一致するとき——彼女の性器と彼女の内的身体との、つかの間の一致をのぞいては。この性的空間に名前はなく、その体験をあらわす言葉もない……。ただ、自分自身との内的接触、(時々は他者のものである)手との、または欲望としばし一致した他者の性器との内的接触があるだけだ。オルガズム——目には何も映らない。触って、触られるだけ。そして全身体への快感の横溢。
可視の性器はない——ことにそれを持っている女性にとっては。ただ触覚の、触られる感覚の、内的振動の接触があるだけだ。この感覚のベースの上に基本的な内的対象が形成される(エスター・ビック Bick, Esther)が、触角から視覚への移行にともなって、その周囲に、可触であったものにつづいて可視の皮膚外皮が発展しうる。女性はこの不確定な内的対象物を中心として、層状に自己を構成するのである。